肉感的なテレクラ女性とのセックスが卑猥な音で溢れかえる

テレクラ女性との性行為には驚きと発見がある。
たとえば、彼女の黒地に薄紫のレースが施されたブラジャーをなかばはぎとりかけた状態で乳房を揉みしだいたときの、揉まれる彼女の乳房の「音」などがそれである。
乳房をもみしだく「音」というと、まずどのようなものが連想されるだろうか。それは、おそらく、むにゅむにゅ、あるいは、むにむに、といった柔らかな印象を与える「音」になるだろう。ぐにゅぐにゅ、くにゅくにゅ、といったものも、早い段階で思いつく乳房の「音」としては考えられるだろうか。
「乳房が弾む音」ではなく「乳房が揉まれる音」なのだから、バインバイン、だとか、ぷるんぷるん、ぼいんぼいんといった「巨乳の音」のステレオタイプが飛び出すことはまずないのではないか、と思われるが、それはさておき、私がテレクラ女性の乳房を揉みしだいたときに聞き取った「音」である。
テレクラ女性の乳房が私の耳に届けたのは、意外にも「ギシ……ギシ……」とでもいうような、ひともみごとに与えられる「きしみ」の音であった。それは、彼女の乳房の下にずりおろされながらも、完全に外されることはない、という曖昧な中間地点に置かれた、黒地に薄紫のレースが施された彼女のブラジャーのワイヤーがあげる悲鳴であった。
この「きしむ音」は、過去のツーショットダイヤル中に私が聞き取った、何かが「きしむ音」を思い出させた。彼女のブラジャーの悲鳴を聞き取るまで気づかなかったが、あの「きしみの音」を、私は「椅子に座るテレクラ女性が姿勢をかえた音」と判断していたが、もしかすると、あれは「テレクラ女性が受話器越しに胸を揉みしだいていた音」だったのかもしれない。
テレクラ女性とのセックスは「音」に満ちあふれている。あるいは「音」によってできている。それはテレクラ女性から発される身体の声であるのだし、私自身から漏れる思わぬ声でもあるのだし、テレクラ女性と私、という二人の中間地点で生まれでる声によってセックスが成り立っているということである。
テレクラ女性の膣内に挿入された陰茎に与えられる刺激や、眼の前で揺れる乳房、テレクラ女性が快楽で歪める表情などの触覚と視覚の情報に夢中になるあまりに、聞き落としている「音」はあまりにも多いと言わねばならない。
テレクラのツーショットダイヤルというのは、セックスが「音」でできている、ということをそもそも私に思い出させてくれるはずの場所ではなかったか。テレクラ女性との即アポ&即ハメの成功体験が、私の耳を衰えさせ、セックスから受け取るものを貧しくしていたか。
テレクラ女性のなかば剥ぎ取られつつあるブラジャーのワイヤーが出した「声」は、射精と同時にその記憶を失っていくセックスのなかで、忘れられない「声」として私のなかで反響を続けるようだ。
テレクラ女性との体験記を書きながら、椅子の背もたれにもたれかかったときの「ギシ……」というわずかな音を聞くと、テレクラ女性のセックスのことをタイピングして硬質なキーボードを叩いている私の指先に、テレクラ女性の乳房を揉みしだいたときの彼女の乳房の弾力やぬくもりが回帰してくる。
身体を前後させて椅子をきしませながら、ためしに、ゆっくりとキーボードを撫でてみる。Q,W,E,R,T,Yとそれぞれのキーの上を艶かしく通り過ぎていく中指の腹は、一つ一つのアルファベットの上で、テレクラ女性の乳首の上を通り過ぎたときのような感触をスキャニングするようにして感じ取る。
QWERTY,YTREWQ,QWERTY,YTREWQと、キーボードの上で指を何往復もさせながら椅子をきしませているうちに、私の陰茎は気がつくと激しく勃起しており、パンツを亀頭の先端から分泌される液体でわずかに濡らしはじめていた。
指の往復と椅子のきしみを反復させて勃起していると、不意に、作業机の上でスマートフォンが誰かからの着信を告げるバイブレーションで激しく震えだし、その震動の音は、テレクラ女性の股間にローターを押し付けたときの記憶を、私の指と背もたれの性行為回想の複合的記憶に合流させ、色濃い彩りを添えていく。
スマートフォンの画面の上に表示されていた仕事の取引相手からの電話番号が、私の指の往復と背もたれへの前後運動が激しくなっていくと、それにしたがって、次第にテレクラの電話番号へとたしかに生成変化していくのが見えた。
窓の外から、路上で子供たちが爆竹を鳴らす音が猛々しく響いた。パン!パン!パン!パン!パン!その激しい炸裂音を聞きながら、私は、キーボードを撫でまわしながら揺れつづける椅子の上で、テレクラ女性にピストンしながらのめくるめく濃厚射精を止めることができなかった。